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ありふれたジャンルで唯一の物語を書く技術——「あるある」に独自性を生む方法

あるある→独自性

「タイムリープもの」なのに、なぜ新しさがあるのか #

「人生やり直し系」「タイムリープもの」——このジャンル、もういくらでも見てきましたよね?

「ありふれている」「もう飽きた」そう感じる人も多いでしょう。実際、このテーマを扱った作品は無数に存在します。「時をかける少女」「リゼロ」「僕だけがいない街」など、名作も数え切れません。

しかし、それでも新しい「やり直し系」の物語は生まれ続け、読者を惹きつけています。なぜでしょうか?

答えは単純です。「よくあるジャンル」でも、あなた独自の切り口と問いかけがあれば、読者は新鮮に感じるからです。

本記事では、筆者の作品「リグレットゲージ」を例に、「人生やり直し」というありふれたテーマからどうやって新しさを生み出し、自分の物語にしたのか、その具体的なプロセスと技術を公開します。

I. 「オリジナリティ」の誤解——何もかも新しくある必要はない #

多くの書き手が「オリジナルな物語を書かなければ」というプレッシャーを感じています。しかし、これは誤解です。
そもそも、これだけたくさんの作品が存在している現代において、全部が「新しい」という作品を生み出すのは、不可能に近いです。

誤解1: 「誰も見たことがない設定」を作らなければならない #

ほとんどのテーマは既に誰かが書いています。「完全オリジナル」を目指すと、逆に読者が理解できない奇抜なだけの話になります。

【筆者の例: リグレットゲージ】

ジャンル: 人生やり直し系、タイムリープ系
超定番ジャンル

私自身も、あんまり独自の世界観という意識では書いておらず、よくある「人生やり直し」の物語を私の哲学で焼き直した感じだなと思っています。
いうなれば、既存ジャンルの再解釈から生まれた「オリジナル作品」でしょう。

誤解2: 既存作品と同じ何かを扱う=パクリ #

確かに、前項で述べた内容だけでは、何かのパクリとされてしまう可能性があります。
しかし、私はこれを否定できます。なぜなら、既存作品と「物語が生まれる発端やプロセスも違い、結果的にできあがる物語自体が違う」からです。
その違いを部分的に抜粋すれば、例えば、何を問うかが違えば別の物語になります。

【あるあるの例】

  • 人生やり直し → 無数にある
  • 記憶喪失 → 無数にある
  • タイムループ → 無数にある

しかし、それぞれが異なる問いを立てています。

【既存の「やり直し系」が問うこと】

  • 「大切な人を救えるか?」
  • 「事件を防げるか?」
  • 「成功を掴めるか?」

【リグレットゲージが問うこと】

  • 「後悔のない完璧な人生」は本当に幸せなのか?

この問いの違いなどの要素が既存作品との差別化を生み、「自分の物語」になっています。 では、次項からその要素を具体的に解説していきます。

II. オリジナリティを生む物語の「発端」と「メッセージ」 #

あるあるについての思考を進め「分析」していく #

定番のジャンル=「あるある」で物語を執筆するのは悪いことではありません。そこにあなた独自の分析を立てることが重要です。よく扱われることについてであっても、自分の中で思考を進めると、一般的な考えとは違う疑問や否定と言った分岐をしていくことがあります。
そうしてたどり着いたのが「物語の発端」となりうるのです。

この説明だけでは掴みにくいと思うので、早速「リグレットゲージ」を例にして解説します。

【作者の思考プロセスと解説】

小説にしようとかではなく、筆者が日常生活においてぼんやり考えたことです。

もしも人生をやり直せるなら?

小説にするにも、雑談であっても、「あるある」すぎますね。
これを元に物語を書いても普遍的なものになりそうです。

私は人生をやり直したいとは思わない。
今までの人生が変わってしまったら嫌だから。

自分自身はそう思いました。これが結果的には、既存の「タイムリープ」とは違う方向に進むための分岐点とはなります。
しかし、やり直さないなら特に物語は始まりません。これをトークテーマに雑談すらできない状況です。
ここである疑問と仮定が生まれたので、思考が続行されます。

私は人生のやり直しなんてやりたくないのに、なぜ物語において「タイムリープ」が多く扱われているのか?
つまり、人生をやり直したい人がたくさんいるのでは、、?

この仮定を元にさらに思考を進めていきます。

物語の「発端」にたどり着く #

なぜ人は人生をやり直したいのか?

だんだんと、雑談のトークテーマとしても面白そうな感じになってきました。
この問いからも面白い物語を作れそうです。私はこの先は哲学っぽくなっていったので、コミカルな感じ目指すならこのあたりで止めて「なぜ人は人生をやり直したいのか?」をテーマに書いてみてもいいかもしれません。
当時はこの先も分析したくなってしまったので、思考を続けていきます。

  1. 良かったと思えたことならやり直す必要がない。
    →やり直したいと感じるのは後悔が原因では?
  2. 今の人生とは違う、チャレンジしてみたいことがあるのでは?
    →一見ポジティブだが、裏を返せば、何か「できなかったことがある」という後悔

つまり、人生のやり直しとは、後悔の精算、、?

自分なりの分析が1つできました。私はこのあたりから少しずつ「物語を書いてみようかな」という気持ちになってきました。これが物語の発端、いわゆる「書くきっかけ」です。

読者への「メッセージ」に昇華させるために #

さて、ここで、私自身が人生をやり直したくない理由「今までの人生が変わってしまったら嫌だから」をもう一度思い出します。
物語に登場する、タイムリープする人たちは、このリスクを背負うのでしょうか?

後悔しないほどにやり直してしまったら、それって本当に自分の人生と言えるんだろうか?
やり直した先の未来が変わってしまうんじゃないか?
それって本当に幸せなんだろうか?

この思考を整理し、下記のようになりました。

「人生をやり直したあなたは、本当に幸せですか?」

これが「リグレットゲージ」の核となる読者への問いです。
また、この問いは「後悔」がキーワードになりそうです。リグレットゲージで、「後悔」を大きく扱っていくことがここで決まりました。

【考え方を応用するには】

あなたなら「人生やり直し」をどう思い、どのように分析しますか?
また、例えば、「人生やり直し」以外にも、あるあるとしては「異世界転生」がありますよね。これを自分なりに分析して解釈すると、新しい分岐をしていくかもしれません。
まずは自分の考えが必要になる部分です。物語や現実によくある事象について、「再考すること」や「疑問を呈すること」が新しさを生みます。
さらに次のステップである設定起こしにて、この思考自体が材料になるので、たくさん考えを巡らせましょう!

躓いたら→既存作品を「研究」して空白地帯を見つける #

うまく分岐点を見つけられない場合は戦略的な進め方をします。
あなたが書きたいジャンルの既存作品を読み、何が書かれていて、何が書かれていないかを分析しましょう。
この研究にはメリットがあり、分析をして差別化が明確になることによって次のステップでも設定を練りやすくなります。

【研究の視点】

既存の「やり直し系」作品で多いパターン:

  • 大切な人の死を防ぐ
  • 大きな事件を防ぐ
  • 人生の成功を掴む

筆者が見つけた「空白地帯」:

「些細な日常の後悔」を扱った作品が少ない

→ 娘の誕生日、仕事の電話、ケーキを食べ損ねた…
→ こういう「誰もが経験する小さな後悔」をメインに据えた作品

【差別化ポイント】

既存作品(多い)リグレットゲージ
大きな事件・事故些細な日常の後悔
特定の誰かを救う自分と家族の関係
明確な目的日常の小さな選択

既存作品との違い:

多くの「やり直し系」:

  • 大きな事件・事故を防ぐ
  • 特定の誰かを救う
  • 明確な目的がある

筆者が見つけた切り口:

「タイムリープ系によくある事件事故とかじゃなく、
どこにでもある些細な日常生活を扱う」

具体例(prologueより):

  • 娘の誕生日を忘れた
  • 仕事の電話で「本日中」と言ってしまった
  • ケーキを一緒に食べられなかった
  • 娘に「パパなんて大っ嫌い!」と言われた

誰もが経験する、小さな後悔

この「日常の些細な後悔」という切り口が、既存作品との大きな違いを生んでいます。

II. 定番ジャンルで「自分にしか表現できない物語」をつくる為の5つの要素 #

ありふれた題材を唯一の物語に変える為の具体的な要素を、私が思考したプロセスを解説しながら紹介していきます。
この中のすべてを取り込む必要はないので、自分に合う方法を選択してみましょう。また、一つだけでは不十分ですし、それぞれの要素が相互的に組み合わさって物語が構築されていきます。様々な独自性の作用で、唯一の物語が仕立てられていきます。

要素 1: 物語の世界を構築する「制約」 #

よくあるジャンルでも、ルールが違えば全く別の物語になり得ます。なぜなら、ルールは物語の存在する世界を司るものだからです。
では、独自性のあるルールはどうやって構築するのでしょうか。

ここまでに思考プロセスを繰り返してきたならルール作りは簡単です。
なぜなら、思考を軸にルールを作れるからです。
逆に言えば、物語におけるルールがその思考に基づいてなければ、物語としてまとめにくくなります。
ルールを決めるためのプロセスでもあるあるについての思考を再利用し、さらに思考を続けていきましょう。

具体例として、リグレットゲージではどんな制約をどんな思考プロセスにより構築したのかを解説します。

まず、【よくある「やり直し」のルール】としては下記があげられます。この「あるある」と比較しながら読んでいただくとよりわかりやすいかと思います。

一般的なパターン:

  • 特定の時点に戻れる
  • 何度でもやり直せる
  • 記憶が保持される

【作者の思考プロセスと解説】

私は、思考プロセスの中で、人生のやり直しとは、後悔の精算ではないかと考えていましたね。
ここからまず、タイムリープが発動するタイミングのルールを定めていきます。

タイムリープが存在するのであれば、 「後悔があるとき」に発動するのが自然だ。

これを1つ目のルールにしたいですが、そりゃそうだろって感じですよね。
なんだかまだ「あるある」感が拭えません。

ここで、私自身が人生をやり直したくない理由「今までの人生が変わってしまったら嫌だから」というのを逆手に取り、物語のドラマ性を生み出すために、人生が変わってしまうほどの「タイムリープ」を考えます。
現在の人生というのは、今までの流れでできているものですね。
つまり、「今までの流れ」が変われば、現在の人生も変わるはず。
ならばと、生まれてからのすべてが段々と変わっていくような様を見せていくために、タイムリープの際は「人生の最初からやり直さなければならない」というルールを決めました。

  • 「昨日に戻りたい」と思っても、0歳まで戻るしかない
  • 30年以上をもう一度やる覚悟が必要

でもこれ、結構あるあるな感じですよね。なので、このルールをただ適用しては既存作品と同じになってしまう可能性がでてきます。

さて、行き詰まれば違う分岐点を用意してください。
もともと作者である私はタイムリープしたくない派ということもあり、より感情的にさせてリアルさを出す仕掛けとして、主人公に迷わせるための「タイムリープしない」という選択肢を用意しました。

与えられた選択肢は2つ。
1つ目。人生を続ける「新たなリグレットゲージ」。
今までと何も変わらない、後悔のある人生を続けることになる。
2つ目。人生をやり直す「リグレットゲージの逆回転」。
生まれたばかりの0歳からまたすべてをやらなければならないが、
後悔を改められるかもしれない。

(第2話より)

しかし、ここで「タイムリープしない」を主人公に選ばせてしまっては物語が展開していきません。「タイムリープ」をさせるためにさらに制約をかけていきます。

先述した中に、下記のような思考プロセスがありました。

後悔しないほどにやり直してしまったら、それって本当に自分の人生と言えるんだろうか?
やり直した先の未来が変わってしまうんじゃないか?
それって本当に幸せなんだろうか?

これがリスクであるなら、「やり直す前の人生」には何か「幸せ」があったはずです。
しかし、主人公は、その幸せを見過ごしてしまったが為に、タイムリープをする可能性がある。
つまり、今ある幸せは些細なものであり、しかもそれについてを検討する余裕無く、かなり切羽詰まった状態で選択を迫られ、すぐさまタイムリープが始まってしまったのではと推察します。

今ある幸せは些細なものであるなら、もしかしたら、後悔も些細なものが積み重なってのことなのでは、という主人公の思考ができあがります。
これが、先程決めたかったタイムリープの発動タイミングを「後悔があるとき」ではなく、様々な後悔のポイントが貯まっていった結果 「後悔ポイントが貯まったとき」に発動のルール発案につながりました。

また、かなり切羽詰まった状態で選択を迫られる状況として、極限状態にて短時間で選択するというルールを追加しました。

今まで無限に広がっていたはずの空間の、終わりの部分が見えた。
「閉鎖処理が完全に終わりますと、あなたの人生はこちらで終了し、どちらの選択もできなくなります。」
(第2話より)
「閉鎖まではあとどのくらいなんだ?」
「閉鎖処理は開始から完了まで3分です。現在、1分を経過したところです。」
(第3話より)

私の思考プロセスを読んでいただくと分かる通り、ルール作りは一発ではオリジナリティが生まれにくく、何度か反復を繰り返すことで独自性が生まれていきます。

要素 2: 展開を左右する「登場人物」 #

実は、制約が出来上がってしまえば、ほとんど主人公は出来上がったも同然なことが多いです。
まだ定まっていない場合、制約に最も影響されそうな人物像を作り上げれば、これが主人公になります。
オリジナリティのあるルール作りができていれば、自ずと既存作品とはイメージの異なる人物となっているはずです。
それを元に、描きたいテーマと照らし合わせて微調整をおこなっていく作業が必要になります。

また、もし既存作品と似たような人物像になってしまったら、例えば「性別」「年齢」「性格」など1つずつ変更してルールとの兼ね合いを考えてみてください。さらに魅力的な物語が構築できるかもしれません。

具体例として、「リグレットゲージ」の実際の主人公づくりをあげて解説します。

【作者の思考プロセスと解説】

「リグレットゲージ」もルール作りの時点である程度主人公像が見えています。

些細な後悔が積み重なってタイムリープを選択してしまい、結果的に掴んでいた小さな幸せを手放してしまう

私はリグレットゲージの主人公の基本方針として多くの人の共感を得る=どこにでもいそうな人物という方向に定めました。
なぜなら、今回扱う「タイムリープ」というのが現実には存在せず、あまりにリアリティがないため、「人生をやり直したあなたは、本当に幸せですか?」という問いかけをしにくいと思ったからです。
もしこれが、あまりにも日常的過ぎる現象を扱った物語ならば、私は主人公を個性的な人物にします。

また、既存のタイムリープものは大きな事件事故や誰かの死を扱うことが多く、対して「リグレットゲージ」は人生そのものということで「共感を得る」方向との相性が良いという点もあります。

では、この、どこにでもいそうな主人公の人生にあった小さな幸せとは何だったんでしょうか?
私は、共感を得る「小さな幸せ」=「日常生活」ではないかと思い、派手ではない方向を戦略的に取りました。
物語としても脈絡がなくパッとしないものになりそうですが、他の部分で派手な演出を加えるなど、全体のバランスで整えれば十分です。

続いて、主人公に、小さな幸せのある日常生活を送らせるための具体的な「小さな幸せ」を想像しました。

  • パターンA 【一人暮らしの幸せ】
    人生のやり直しで結婚して家族を持つ→以前の静かな暮らしが良かったと後悔
  • パターンB 【家族のいる幸せ】
    人生のやり直して様々なことが少しずつズレてしまった結果以前の人生での配偶者と出会えず、当然子供は生まれない→元の家族との生活に戻りたいと後悔

一見Aも面白そうに書けそうだし、既存作品との差別化もできそうですが、物語として成立させるには、やり直し人生で出会う家族をめちゃくちゃ性格悪くしたりしないと、いらないと思われてしまう家族たちが可哀想なので「人生をやり直したあなたは、本当に幸せですか?」というテーマ性がブレてしまいそうです。
迷わずBにしました。

Bの人生が似合いそうなペルソナを設定します。
まず、主人公の子供の年齢は、小学校低学年と設定。この理由は、子どもとの思い出が積み重なってきていて、会話の内容や思い出の描写に深みが出せるし、主人公との絆もより明確に描けるからです。
この年代の子供がいるなら、主人公は30代後半くらいが一般的です。

次に、性別です。
もし女性にするなら、自身の出産があるなど、生々しさが強くなります。リグレットゲージではテーマ性を強調したく、リアリティがあっても生々しさはあまり求められないため、男性と設定します。

ここまでで決まった30代後半の男性、というだけでも、あまりタイムリープものの定番という感じはしません。仕事内容、居住地などの詳細な設定はここで他作品との差別化を意識しながらあえて決めなくても、この後の設定作りによって生まれてくるので十分です。
この時点で「なんか見たことあるキャラクターだな」と感じてしまったなら、職業とか性格を一捻り加えると違った印象が生まれてきます。

要素 3: 独特のストーリーをみせるための「エピソード」 #

エピソードは物語を構成する部品ですね。
以前行なった思考プロセスだけではなく、要素1・2も活用していきます。

【この制約が生む物語】

  • 「昨日のやり直し」のために30年をやり直す重さ
  • 些細な日常の後悔が、人生全体をやり直す決断につながる
  • 究極の選択の中での葛藤

【他作品との違い】

  • 一般的なタイムリープ: 大きな事件を防ぐためにやり直す
  • リグレットゲージ: 些細な日常の後悔のために人生全体をやり直す

同じ「やり直し」でも、何をやり直すかが違えば物語の性質が変わるのです。

要素 4: 物語を象徴する「アイテム」 #

要素3までできていればすでにオリジナリティのある物語になっているとは思います。
さらに独特なアイテムが存在することで、この小説といえば「コレ」という印象が可視化され、他に存在し得ない物語だということを決定づけてくれます。

これまでに決めた要素に則り、具体的な「モノ」に落とし込みましょう。決め方の例をいくつか示しておきます。

  • 「制約」から連想する
  • 「登場人物」が持ってそうなものにする
  • 「エピソード」に登場したアイテムに色付けし、何度も登場させる

具体例として、タイトル名にもなったアイテム「リグレットゲージ」の成り立ちをあげて解説します。

【作者の思考プロセスと解説】

タイムリープは様々な後悔のポイントが貯まっていった結果 「後悔ポイントが一定まで貯まったとき」に発動のルールがすでに決まっている状況です。
まずは、アイテムと言うより、この「後悔ポイント」の正式名称を決めていきます。全然思い浮かばないので、まずは生成AIに頼りました。

もしもの種(たね)  
→ 後悔は「もしもこうしていたら」という種であり、未来への芽にもなる  
ゆらぎの灯(ひ)  
→ 心が揺らいだ瞬間。見つめ直せば光になる  
しずかな願い  
→ 口に出さなかったけど、心の奥で願っていたこと  
こころのしこり  
  → 胸に残った小さな痛み。放っておくと…

だっさ、、ww
生成AIのネーミングセンスはどうプロンプトを頑張っても初っ端はダサいのであきらめてください。引くほどダサいけどちょっとだけ我慢してください。ただ、こうしてAIに提案させてるのは意味のないことではありません。出てきたものをそのまま使うんじゃなく、まずはヒントにするだけです。
こんなんがいくつも提案されてるんですが、「モシモメーター」というのがひっかかりました。
私のセンスが疑われそうなのでもう一度いいますが、もちろん!そのままは使いません!!

この後の私のプロンプトが思考プロセスそのものだし、普段私がAIにどんな要求をしているかという面も見ていただくためにも、プロンプトそのままお見せします。

メーターとかの表現いいですね。
その後悔の度合いによっても貯まる量が変わりそうなところがいい。
これがいっぱいになったらやり直しの選択ができる。
その方向性で提案して

そうすると、この提案の中に一発で「リグレットゲージ(Regret Gauge)」が出てきました。めちゃくちゃAIが相性良かったパターンなのかもしれません。
普段はこのクオリティを作ってくれないので、最終的には自分で整えていって結果全然別物ができあがるとか稀にありますが…。

というわけで、名前も決まったところでリグレットゲージを可視化していきたいなと思いました。これがアイテムづくりのスタート地点です。

見た目としては、ゲームとかで満タンになると必殺技打てたりするイメージのある、あのゲージを想定します。
まず、ゲージに溜まっていくもの=中身ではなく、ゲージそのもの=器を考えます。器は人生そのものと考え、時を刻んでいるようなイメージで行こうと思いました。

ここで小説ならではの利点を説明しておくと、正確に「色はこうで、形はこうで、、」というビジュアルにしなくても、ある程度まで決定しておき、後は読者の想像に委ねることもできます。だから「〇〇」という断定をせずに「〇〇に似てて」のような比喩表現も有効になります。
まず、砂時計を考えました。中にある砂がキラキラしていたら綺麗だなと思ったのですが、私自身の他の作品でも砂時計が象徴的なアイテムとして使用されているので、今回は違うもので行きます。

人生の重さのようなものを感じさせたく、デジタル時計とはイメージが違います。振り子時計、懐中時計はアンティークを連想させ、イメージと合いそうです。
そして、人生=個人のものという連想から懐中時計を選びました。

懐中時計というだけでは他の作品にもありそうだなと思います。
それならば、先程紹介したように比喩表現を用いて、懐中時計のようなものとします。
このアイテムの名前は「リグレットゲージ」なのです。自信をもって、懐中時計っぽい以外の他の要素も加えていきます。

さて、ゲージには後悔が溜まっていくわけですが、後悔→ネガティブ→おどろおどろしいビジュアルという思考には進みませんでした。
後述する自分自身の哲学に基づいて、後悔を美しいものとして捉え、そして、見方によっては違って見えるというものにしたかったのです。
後悔が溜まる器=懐中時計っぽいものなので、後悔はそこに収まるような形状を考えます。懐中時計はパカッと開くと文字盤が現れますね。このパカッと開く部分をリグレットゲージにも取り入れていきます。リグレットゲージは裏側が開いて、歯車を見ることができる形はどうだろうと考えました。人生を動かすにはとてつもない力が必要ですが、歯車でそれを表現できるのではないかと考えたのです。そして、この裏側にリグレットゲージを液体として入れることで歯車はその中に存在することになる、つまり、後悔にもがきながら人生を突き動かしていく力として描くのです。

この時点で、懐中時計ともちがうものを生み出しているので、オリジナリティとしては及第点とします。

角度によっていろんな色に見える液体が容量いっぱいにキラキラと輝いていて、
(第1話より)

そして私は、リグレットゲージに溜まる後悔を液体として描くことで次に説明する哲学も反映できるだろうと考えました。

要素 5: 作者が持つ「哲学」 #

最も重要なのは、あなたの考え方です。
今まで説明した要素1~4が具材だとすれば、これが物語に潜む「隠し味」のような部分です。アクやクセにもなり得る部分とも言えます。
哲学は、物語を構成する部分的なものではないものの、どことな〜く存在しています。

同じ要領で作ったカレーも、隠し味たったひとつでぐっと個性が出ますよね。

【リグレットゲージに見る作者の哲学】

今からめちゃくちゃ説教臭いこと言うので、覚悟してから続きを読んでください。

採用面接のコツとして「自分の短所を説明したら、同じ部分を長所と捉えられる方法に変換して説明する」というのがありますね。人の個性というのは、ある角度から見れば短所になってしまうのに、別の視点を持てば長所として活かすことができる、という多面性を持っているからです。

私は、人生にて経験する出来事についても同じように感じるのです。
失敗したな、、と後悔することって、視点を変えてみれば「こんな経験が得られた!」とポジティブに捉えられるものだと思っています。

なんて説明されたら、なんか考え方押し付けられてるような感じで、嫌ですよね。
この「考え方」をエンタメに乗せられるのが小説のなどの物語の「良さ」のひとつではないでしょうか。

「後悔というのは、経験した出来事をある一面から捉えた感覚でしかありません」
(第1話、案内人のセリフより)

リグレットゲージは「後悔を別の角度から見る」という哲学を、物語全体を通して描いています(詳細はネタバレになるため省略)。

自分の人生観・価値観を反映すれば、自分にしか表現できない物語になります。

要素は掛け合わせて練り上げる #

これまで紹介した5つの要素は、先述した通り組み合わせることによってオリジナリティを創出していきます。
要素ごとに紹介したため、独立しているようにみえますが、思考は断続的なものであり、例えば、ルールをつくる途中で展開が決まっていき、矛盾したらまたルールづくりに戻るなど、反復も必要になります。
また、今回あげた以外にも、例えば「決めゼリフ」も作品のイメージを固めるものなので、有効かもしれません。

説明するためのこの記事を書いていても、どの要素から説明すればわかりやすいだろうかとずっと並べ替え続けていました。つまり、要素を設定する際に順番は関係ないのです。順番にはとらわれず、とにかく様々な要素を何度も行ったり来たりすることが大切です。

III. よくあるジャンルを書く際に迷うこと #

Q1: 「特定の作品に似ている・パクリ」と言われたらどうする? #

A: ジャンルが同じなら、それは当然かも知れません。
しかし、「自分にしか表現できない物語」をつくる為の5つの要素が揃っていれば、パクリではない物語と言えるでしょう。
また、本格的な執筆をする前に似たような作品がないか事前にリサーチをすると安心です。

ジャンルが同じ ≠ パクリ

Q2: どこまで似ていたらアウト? #

A: プロット・キャラ・セリフが酷似していたらアウト。ジャンルが同じだけならOK。 自分の物語が独自の5つの要素を持っているか確認すれば確実な判断ができます。

セーフ:

  • 同じジャンル(人生やり直し)
  • 同じ装置(時間遡行)
  • 同じ舞台(現代の日本)

アウト:

  • 同じ世界観(制約)
  • 同じキャラクター設定の組み合わせ(登場人物)
  • 同じ展開(エピソード)
  • 同じ持ち物(アイテム)

Q3: 既存作品を読まずに書いてもいい? #

A: 好きにすればいいです。

読むメリット:戦略的にいきたいならこっち

  1. 空白地帯が見つかる(誰も書いていない切り口)
  2. 無意識の模倣を防げる
  3. 「やり尽くされた展開」を避けられる

読まないメリット:自分の考え方を守りたいならこっち

  1. 既存作品に引っ張られない
  2. 自由な発想ができる
  3. 自分の作品に集中できる

と、それっぽく並べましたが、別に読んでなくても「実は私も今回もタイムリープもの全然読んだことないから」というのが説得力ありますかね。
タイムリープって多く書かれているのにも関わらず。全く興味持てないような分野に勝手に足突っ込んでみた、という感じです。

まとめ:「よくあるジャンル」は“手法”でしかない #

あなたが物語を書くのはなぜですか?

読者に対して、
「面白さを届けたい」
「哲学を説きたい」
「考えを問いたい」
など。つまり、何か伝えたいからではないでしょうか。

よくあるジャンルというのは、その何かを伝えるための方法のひとつでしかありません。
何を伝えたいかというメッセージ部分がオリジナリティが一番ひかる部分なのだと思います。

「リグレットゲージ」も 「人生をやり直したあなたは、本当に幸せですか?」 というメッセージが主体であり、方法が「タイムリープ系」のジャンルなだけなのです。

あなただけが持つ「伝えたいメッセージ」を軸に、今回ご紹介した5つ要素や思考プロセスを参考にして物語を仕立て上げてみてください。

次のおすすめステップ #

設定を深く練る #

自分だけの物語をつくる技術を会得したら、設定をより深く練っていきましょう。

世界観の作成・保存方法を知る #

唯一の世界観をつくりあげたら作成や保存に下記がおすすめです。

プロット作成・執筆 #

物語に関する設定がひとまず終わったら、早速プロットを作成し、執筆していきましょう。